兼松株式会社Kanematsu Corporation.
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迅速果断、薬品片手にタイを奔走!“ALL KANEMATSU”で勝ち取った執念の商売

Project of KANEMATSU01

小川 良平 上海支店 電子・デバイス部門
2007年入社/社会科学部社会科学科卒
入社後、薬品を扱うことになってからは「毒物劇物取扱責任者」の国家資格を取得。現在はスマートフォン向けレンズの販売を担当している。仕事の原動力となっているのは、愛すべき家族。(少し怖い)奥さんと2人の子供に囲まれ、日々充実した生活を送っている。

入社以来、スマートフォンに関わる電子関連部品なら何でも扱ってきた。レンズ、基板、薬品、金属原料…等々。そこに急遽舞い込んできたのは、世界的大手からのコンペの打診。タイの新工場に薬品を安定供給してほしいというものだった。ラインの稼働までは残り4カ月。社内でも経験のある者がいない。厳しいミッションに挑んだ5年目小川の前には、予想を超えるさまざまな難題が立ちふさがっていた―。

法令と時間との戦い

今、あなたが手にしているスマートフォンには、兼松が扱った商材が搭載されているかもしれない。
兼松の電子・デバイス部門は、競争の激しいスマートフォン業界に、高い技術力を持つパートナーと共に立ち向かい、幅広い裾野で現代の“技術力の革新”に貢献している。
中でも小川の属する電子材料部は、スマホに繋がる製品であれば何でも扱うような、まさに広い裾野で電子関連材料の輸出入の一端を担っている部署だ。そんな小川のところに突然コンペの打診が舞い込んだのは、2011年10月だった。打診元である電子機器メーカーは知る人ぞ知る世界的大企業である。よくよく話を聞いてみれば、当時スマホの拡大を見込んでいた同社が、製造拠点の世界的な拡大を目指しているというものだった。

「タイに工場を新設するため、製品製造で使用する薬品のデリバリーをお願いできないか?」

受注できれば間違いなく大きなビジネスに繋がる。ところが、工場の生産ラインが稼働するまで、この時すでに4カ月ほどしか残されていなかった。さらには、社内にもタイへ薬品を輸出した経験のある者が殆どおらず、多くの困難が予想された。しかし、顧客はまさにノウハウ面で頼れるパートナーを必要としており、それがこの案件最大のポイントでもあった。商社マンとして、兼松パーソンとして、小川の力量が試されていた―。

商社が顧客に提供できる価値は色々とあるが、今回のケースにおいてはコンペに勝ち抜くために、「①安定的なデリバリー体制の構築」を整える事が必須条件であった。加えて、顧客にとっての“新工場の設立”とは「②安心感・安定感」が最も重要な付加価値であるとも考えていた。そしてそれは、“ALL KANEMATSU”によるサポートで実現し得ると確信していた。

①安定的なデリバリー体制の構築
薬品を安定的に現地で輸入するため、事前に抑えておくべき項目には各種法令や規制内容の事前チェックがある。たとえば、「ある化学薬品の中に物質Aが何%以上含まれていたら特別なライセンスがいる」というように、薬品を構成する物質一つひとつの割合についてまで細かな規定が設けられている。そして、その内容は国によって異なる。たとえばベトナムに輸入したときと同じ手順を踏んでも、必ずしもタイに輸入できるわけではない。加えて、確認すべきは「規制内容」だけではなく、「管轄機関」や「申請書類の作成方法」、「提出期限」、「所要日数」など、多岐に渡る。その他にも「薬品メーカーとの調整」や「日本からタイまでの海上/陸上輸送ルートの確保」など、限られた時間の中でやるべきことは膨大にあった。時間との厳しい戦いだった。

そこで小川は、タイの現地法人(KANEMATSU(Thailand)Ltd.)の駐在員に連絡をし、協力を依頼した。更には、自らも在東京タイ王国大使館へ出向き情報を得た。「申請書類にどのように記載すれば許可が降りやすいのか」、「申請から許可が出るまでの期間はどのくらいなのか」、単純な情報だけでない、一歩踏み出した情報を得ておくことに価値を置いた。事業として走り出した際、起こり得るあらゆる問題をいかに最小限にできるか、これこそ重要であることを心得ていたからだ。だが、工場稼働までの日程には試行錯誤が許されるほどの猶予はなかった。そのため、申請は「一発で、確実に」通す必要があった。

②安心感・安定感
こうして小川はほぼゼロに近い状態から一つひとつノウハウを積み上げていった。一方で、案件奪取の為のもう一つの付加価値「②安心感・安定感」を顧客に感じてもらうべく、次の一手に出た。たとえば、通関が上手くいっても輸送途中で何らかのトラブルに巻き込まれれば工場のラインは止まってしまう。”未知の土地でビジネスを行う顧客のリスクと不安をどれだけ取り除けるか”、そこは総合商社・兼松の「地力」によるところが大きい。小川は関連会社である『兼松ロジスティクス&インシュアランス』にも協力を仰いだ。物流を他社に依頼するのではなく、グループ会社とも一丸となってフォローすることを約束した。さらに設立50年近く、半世紀にわたって拠点を構えているタイ現地法人の実績も示し、万が一現地でトラブルが発生した際のサポート体制も担保し、安心感の醸成を狙った。競合他社でこれほどまでに現地に根ざし、安定的な物流機能を担保できるような幅広いフォロー体制を構築できる企業は極めて少ない。
「兼松グループの総力、”ALL KANEMATSU”でこのプロジェクトを成功させる。」と顧客に何度も訴え続けた。
結果、兼松は見事顧客から指名を受ける。出張先の海外でこの知らせを受けた小川は、人目もはばからずガッツポーズをし、喜びを噛みしめたという。

なんとしても顧客のビジネスを支えたい

コンペには勝った。しかし、ここからまたもう一つ山を越えねばならなかった。小川は顧客担当者から急遽ある相談を受ける。
「部品製造に関わる薬品を、すべて兼松で調達できないか」

種類にして約70品目。「すべて」と言ってもメインの薬品に比べればそれぞれが微量であり、とても単体のビジネスとして儲けが期待できるものではない。これまでの20種類の薬品の通関業務でも大変な時間がかかっている。これをこなすのは限界であるようにも思えたが、小川はこの依頼を引き受けた。
「薬品の組成表と規制内容とをじっと見比べ、気がつけば窓の外が真っ暗になっているような日々でした。規制に引っ掛かるところがあれば、薬品メーカーに連絡して代替品を用意できるかを相談し、代替品について再び、”組成”と”規制”とを突き合わせていく。膨大な作業になかなか終わりが見えず、顧客担当者からは『本当に工場稼働に間に合うのか』と厳しく問われる場面もありました。あの頃が今までで一番プレッシャーと戦っていました」。

「儲からない仕事になぜそこまで」と思う向きもあるかもしれない。だが小川の考えは違った。ビジネスとしては小さくても、それは顧客にとって必要不可欠なもの。儲けの多少によらず、どの薬品が一つなくても工場のラインは動かないのだ。なんとしても顧客の”お役立ち”をしたい。当時、5年目を迎えていた小川には、兼松パーソンとしてのプライドが溢れていた。

ここで小川は大きな決断をする。全ての薬品を日本から輸出している時間はないと判断したのだ。可能な限り、タイですでに流通している製品を手配する戦略へと切り替えた。現地の化学メーカーを調べては、「品質を担保できるのか」、「生産体制が整っているのか」、1アイテムごとに確認・協議を重ねた。スピード感が求められていたため、交渉はタフな展開になることも多かった。

最終的には、プロジェクトは無事に成功した。顧客のタイ新工場は予定通り稼働を始め、現在では我々が手にするスマートフォン向けに部品を供給している。時に厳しかった顧客担当者は同社の中国工場へと異動したのだが、ここで小川にとってもう一つ嬉しいことがあった。
「異動先の工場で使用する薬品もすべて兼松から買えないか?」
小川は心から喜んだ。それはビジネスを獲得した喜びに限らない。何よりも、あの当時厳しかった顧客から信頼を勝ち得たことに対する嬉しさからこみ上げてきたものなのだろう。
担当当初は、小川が扱う薬品の取引先は台湾と中国沿岸部に限られていた。しかし、今では取引先が中国内陸部や東南アジア地域にまで拡大しており、部の柱となる案件となっている。

「顧客のために汗を流し、顧客と共に発展する」。

小川が体現した思いはビジネスの真髄であったと共に、兼松パーソンが素養として持つ”お役立ち”による事業創造のマインドでもあったのだろう。

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